教育 (きょういく)

子どもが社会の宝であるならば、この原石をみがき、あるいは自ら研さんするすべを教えるのは教育であろう。

先人がもたらした恩恵に依存して豊かな生活を送ってきた大人であればこそ、

次の世代に可能なかぎり望ましい教育環境を与えることに努力しなければならない。

大野もとひろが暮らしてきた中東には、貧しさのみならず政府の失政や社会の不安定さのために、

満足に教育を受けられない国があった。

貧しいために学校に行くよりも靴みがきを強いられる子どもたち、

学校が不足しているために3部制の授業で短時間しか教育を受けられない子どもたち。

それでもたくましく生きている彼らを見ると、社会や政治の責任を強く感じた。

また、戦争に明け暮れたイラクでは、小学校の子どもたちの絵画展に行くと、

女の子の絵には日本と同様に大きなまなことかわいい洋服の娘が描かれていたが、

男の子の絵の多くは、その上空にはミグ戦闘機やスカッド・ミサイルが描かれていた。

彼らの「あこがれ」であった兵士たちが敵を殺害する様子が描かれていた。

この絵だけ見ても、当時のイラクの教育の様子や子どもたちのすさんだ気持がおしはかられた。

大野もとひろは、いくつかの大学で教鞭をとったことがあるが、

どの学校でも、入試の際の偏差値にかかわらず、きらりと光る才能を見せる優秀な学生が等しく存在した。

彼らを導くなどというのはおこがましいが、良好な教育環境を与え、

すべての子どもたちが持っている才能を自ら見つけ出す機会を作ることに貢献したい。