米・イラク地位協定 | ||||
条項 | 政府間合意文書(11月28日署名) | 10月13日合意からの変更 | 8月時点からの変更 | |
第一条 | 目的 | 本合意は、米軍の暫定的な展開と活動およびイラクからの撤退を規定する規則と基礎的な必要性を特定する。 | ||
第二条 | 用語の定義 | 「合意された施設および地域」とは、本合意の有効期限内に米軍によって使用されるイラク内の地域をさす。;「米軍」とは、イラク領土内に展開する米軍のすべての人員、関連する文民、彼らの所有物、施設および機器をさす。;「米軍の要員」とは、米国陸軍、海軍、空軍、海兵隊および沿岸警備隊に所属する者をさす。「文民構成員」とは、米国防省に勤務する文民をさす。ただし、この要員には、通常イラクに居住している人物を含まない。「米国と契約を有する者」および「米国と契約する者のために働く者」とは、法的にイラク国籍を有さず、イラクに所在しない団体およびイラクに滞在する米及び第三国民の労働者で、米軍およびその代理に対し、サービス、物資および安全を提供する者をさす。;最後の二つには、イラクの領土内に通常居住する者を含まない。;(中略);「税および手数料:とは、すべての税金および税関手数料を含む料金、イラクの処方および規則に従い、イラク政府、地方政府および政府系機関が課す料金をさす。ただしこれは、イラク政府、機関および地方政府により集められるによる基金を含まない。 | ||
第三条 | 法的規則 | |||
第一項 | 米軍および文民の全構成員は、本合意に基づき軍事作戦を実施する際には、イラクの諸法、慣習、伝統および合意を尊重しなければならない。全構成員はまた、本合意およびその精神が規定しないいかなる活動も控え、米側は、これを遵守させる責任を負う。 | |||
第二項 | 米軍および文民構成員を除き、イラク政府が合意する行政合意を含む諸法および規定に基づかない限り、本合意に含まれる船舶および航空機に乗せて、イラクからいかなる者も出国させてはならない。 | 「本合意の目的に従い、米軍はイラク政府と協調し、イラク国民もしくは居住民の陸海空での出入国をイラクの諸法及び規則に従わせるものとする。米軍は、米軍により独占的に使用されている施設もしくは地域から、イラク当局により逮捕状が出されているイラク国民もしくは居住民を出国させてはならない。」からの変更 | ||
第四条 | 責任 | |||
第一項 | イラク政府は、イラクの治安と安定維持努力に対する米軍の暫定的な支援を要請する。これは、カーイダその他のテロ組織、無法者グループおよび旧政権残党に対する作戦を含む。 | |||
第二項 | 本合意に基づき実施される軍事作戦は、イラク政府の了承とイラク当局との完全な調整を得て実施される。かかる軍事作戦に関する調整は、本合意に基づき設立される合同移動作戦指揮司令部(JMOCC)が監督する。JMOCCが解決し得ない問題は、省レベルの合同会議に提出される。 | |||
第三項 | 作戦は、イラクの憲法、諸法、イラクの主権およびイラク政府により規定される国家的利益を尊重しなければならない。米軍は、イラク諸法、伝統、習慣および有効な国際法を尊重しなければならない。 | 国際法尊重を追記 | ||
第四項 | 双方は、イラクの治安能力向上に向け継続的に協力する。これは、双方の合意する訓練、補給、支援および行政システムの構築と向上を含む。 | 「双方の合意する」を追記 | ||
第五項 | 本合意は、国際諸法の規定に基づき、イラク国内において双方の自衛権を保有するする。 | 「イラク国内において」を追加 | 「本合意は、いずれの側の自衛権をも制限しない」を改定 | |
第五条 | 所有権 | |||
第一項 | 撤退に際し、米側はイラク政府に提出される二つのリストにしたがい、すべての施設および米攻撃部隊により使用されるために割り当てられた地域を返還する。最初のリストは施設および合意された地域に関するもので、本合意実施後直ちに提出される。に場目のリストは、イラクのとし、町および村から米軍が撤退する期日である2009年6月30日までに提出される。イラク政府は、撤退に際し、本合意の目的に資するために必要な施設を米軍が使用することを許可する権限を保持する。 | 「イラクは、すべての合意された施設および地域内の土地に建てられた不動産および建築物に所有権を有する。これは、米軍により建設・使用・強化・改築されたものを含む。」からの変更 | ||
第二項 | 米軍は、建物の増改築に当たりイラク政府と協議し、また主要な建設計画に際してはイラク政府の許可を求めなければならない。施設および合意された地域を共同で使用し、これらにおける建設・増改築を行い場合、双方は応分でその費用を負担する。米軍は、単独で使用する施設および合意された地域において要請し享受するサービスにかかる経費を負担する。双方は、使用する応分割合に従い、施設および合意された地域において要請し享受するサービスにかかる経費を負担する。 | 「建物の増改築に当たりイラク政府と協議し」を追加 | 割合応分を追記 | |
第三項 | 米国は施設、本合意の有効期限内に建設し、手を加え、使用した合意された地域および移動することができない建築物を、合同委員会が定める仕組みと優先順位に基づき返還する。これらの施設および地域は、債務もしくはいかなる財務上の義務もない状態でイラク政府に返還される。 | 「これらの施設および地域は、債務もしくはいかなる財務上の義務もない状態でイラク政府に返還される。」を追記。第四項から移動 | ||
第四項 | 米軍は、伝統的・倫理的・政治的に重要性を有する施設および合意された地域、米軍が建設・組み立て・設置したその他の建築物を、合同委員会が合意する枠組みおよび日程にしたがい、財政的な義務を残さずに、イラク側に返還する。 | 第三項「合意された施設もしくは地域において歴史的・文化的史跡および戦略的資源が発見された場合には、いかなる建設・改築作業も即時停止され、合同委員会のイラク側代表に対し通報がなされる。」からの変更。第五項「米側は、文化的・政治的に重要なすべての施設、地域および本合意の下で建設・改築された資産を、合同委員会で合意された仕組みおよび優先度に従い返還する。合意が効力を持ち次第、駐イラク米大使よりイラク外務省に発出される口上書に記される資産を即時返還する。」からの変更 | ||
第五項 | 米国は、本合意の満了・終了時もしくはそれ以前に双方で合意された時期、あるいは米側がもはやそれを必要としなくなる場合に、イラク政府に対し、上記以外の施設および合意された地域を、債務及び財政的義務を残さずに返還する。 | 第六項「本合意の期限が満了、無効化、あるいは双方が満了以前に引き渡しを合意し、もしくは合同委員会の決定に基づき米軍がそれらを必要としない場合、前項までに定められていない合意された施設および地域は、イラク当局に返還される。」からの変更 | ||
第六項 | 米軍および米側契約業者は、本合意に基づきイラクに輸入され、あるいはイラク国内で入手したすべての機器、追加資材および動産に対する所有権を保有する。 | 第七項からの移動 | ||
第六条 | 合意された施設及び地域の使用 | |||
第一項 | イラクの主権を尊重する双方間の意見交換の枠組みの中で、イラクは、米軍、契約業者、その従業員および合意された他の人員や組織に対し、合意された施設や地域へのアクセスを認める。合意された施設や地域が第五条第六項に従い必要とされなくなる場合には、合同委員会の定めに従い、別途合意がない限り、それらはイラク側に無償で返還される。 | 「イラクの主権を阻害しない限り」という書き方から、主権尊重部分が強化される。引用条文の明文化。 | ||
第二項 | イラクは、合意された施設および地域を管理・使用・建設・確保するすべての権利を米軍に与える。双方は、共有する合意された施設および地域に関し協力・協調する。 | |||
第三項 | 米軍は、独占的に使用される合意された施設および地域の出入口をコントロールする。合意された共有施設および地域については、合同委員会により定められた枠組みに従い、双方が協調する。双方は、合意された地域および施設に隣接する地域における治安活動について、合同委員会を通じて協力する。 | |||
第七条 | 軍事用品の貯蔵 | (略) | ||
第八条 | 環境保護 | (略) | ||
第九条 | 移動 | |||
第一項 | 米軍の車両および船舶は、安全・交通・海運に関する関連規定を尊重する一方で、本合意の目的のために、車両および船舶を出入国させ、イラク領土内を移動させることができる。合同委員会は、これらの交通に関する適切な規定を定める。 | 「安全・交通・海運に関する関連規定を尊重する」を追記。 | ||
第二項 | 米政府航空機および米国防省とのみ契約を交わした民間航空機は、関連航空諸法を尊重する一方で、イラク領空を通行し、空中給油し、イラクに離着陸することが認められる。イラク当局は、本合意の目的に資するべく、当該航空機のイラクへの離着陸を1年間に限り承認する。米政府所有航空機、船舶、車両および米国防省とのみ契約を交わした航空機には、米軍の許可なしに何者も搭乗できず、取り調べも行われない。合同委員会は、これらの通行に関する適切な規定を定める。 | 「関連航空諸法を尊重する」を追記。 | ||
第三項 | 本合意実施後直ちに、空域管制圏がイラク側に引き渡される。 | |||
第四項 | イラクは米軍に対し、イラク空域のコントロールおよび監視に関する支援を一時的に要請することができる。 | 「委ねることができる」からの変更 | 「これらの任務は、イラク側の要求に従いイラク政府に引き渡される。イラク当局は、暫定期間中、空域のコントロールと監視に参加する」が削除された。 | |
第五項 | 米政府所有航空機および米国防省と契約を交わした民間航空機は、税および料金徴収を免除される。右はイラク空域通行、空中給油および離着陸に対する料金を含む。米政府の船舶および米国防省と契約を交わした民間船舶は、税および港湾使用料金徴収を免除される。航空機および船舶は、検査およびイラクの要求する登録を免除される。 | |||
第六項 | 米軍は、イラク国内で裨益するサービスや財に対する支払いを行う。 | |||
第七項 | 双方は、イラク領土および領海におけるいずれの側の通行をも妨げる可能性のある機雷や障害物に関する情報および地図を共有する。 | |||
第十条 | 契約 | (略) | ||
第十一条 | サービスおよび通信 | (略) | ||
第十二条 | 司法権 | イラク領土内における民法・刑法を決定し施行する主権、および第四章に記された米軍に対するイラクの暫定的な支援要請を確認し、イラクの諸法、諸規則、伝統および慣習を尊重しつつ、双方は以下を合意した。 | ||
第一項 | イラクは、合意された施設および地域外において、公務についていない場合に発生する第八項で述べられる主要且つ意図的な事件における軍および文民構成員に対し裁判権を行使する第一次の権利を有する。 | 第二項からの移動 | 「米軍は合意された施設および地域における米軍および文民構成員に対する排他的な司法権限を有する。」の改定。 | |
第二項 | イラクは、米軍および構成員と契約を結んだ者に対し裁判権を行使する第一次の権利を有する。 | 第三項からの移動 | 「米側は、米軍および文民構成員によるイラクの諸法に触れる国際犯罪もしくは主要な過ちに関し、イラク側が提出するクレームに強く留意する」の変更。 | |
第三項 | 米側は、合意された施設および地域内で発生した問題、合意された施設および地域外での公務実施中の問題、および第二項で述べられていない場合に関し、米軍および文民構成員に対し裁判権を行使する第一次の権利を有する。 | 第一項からの移動。「第二項」を「第一項」に変更 | 「一義的な」を追記。 | |
第四項 | 双方は、要請に応じ、裁判実施を確かなものとするために、取り調べ、証拠収集および共有に関し互いに協力する。 | 「双方は、公正な裁判を支援すべく、取り調べおよび情報収集に互いに協力する。」の変更。 | ||
第五項 | すべての米軍および文民構成員がイラク当局に逮捕・拘束された場合、ただちに米側に通報され、逮捕・拘束後24時間以内に引き渡されなければならない。本条第一項の定めに従い、イラクが司法権を行使する場合、米当局が米軍および文民構成員の拘束を引き受ける。米当局は、取り調べおよび予備尋問のため、イラク当局の容疑者との面談を許可する。 | 「直ちに引き渡し」から「直ちに通報され、24時間以内に」変更。「第二項」を「第一項」に変更 | イラク当局により逮捕されたすべての米軍および文民構成員は、ただちに米軍当局に引き渡される。 | |
第六項 | 双方は、特別な場合には第一次の裁判権の放棄を相手方に要求することができる。司法権行使に関する例外的な重要性に鑑み、イラク政府は、容疑の発覚より21日以内に米側に対して書面で通告することにより、第一項の定めに従い司法権の行使に合意する。 | 「第二項」を「第一項」に変更 | 「米軍はイラク当局に対し、イラクにおいて普通に生活を営む人に対する犯罪に関与した米軍および文民構成員の取り調べにつき通報する。双方は、裁判の詳細、開廷日および弁護士との接触支援に関連し、事件に関係のあるものとの接触に関する適切な規定を行う。」の変更 | |
第七項 | 米軍および文民構成員は、米国が司法権を行使する第三項の場合に、米国憲法および諸法により保障された庇護を受ける権利を有する。第三項に該当する犯罪の被害者が米軍もしくは文民構成員以外の場合、双方は、合同委員会を通じて以下の事項につき通報するための必要な措置を講じる。;取り調べのステータス、容疑者の罪状、公判日、容疑者の状況に関する協議の結果、弁護士と調整しつつ容疑者を公判にて裁く可能性、第二十一条に基づく要求の提出;米当局は、双方が合意し、環境が許す場合にはイラク国内において公判を行うよう努める。米国で公判が開催される場合、被害者側の人間が裁判に立ち会う措置を講じるよう努力する。 | 「第一項」を「第三項」に変更。「被害者がイラクに通常居住する人物である場合」からの変更 | ||
第八項 | 第一項に従い、イラクが司法権を行使する場合、軍および文民構成員は、米国およびイラクの諸法が定める法手続きおよび権利を享受する。合同委員会は、第一項が規定する主要な犯罪、国際犯罪及び正当な裁判の保証条項を含む本条実施に必要な手続きおよび規則を定める。本項に規定される手続きおよび枠組みに従わない限り、本条第一項に関連する司法権を行使することは許されない。 | 「第二項」を「第一項」に変更 | ||
第九項 | 本条第一項並びに第三項に従い、米当局は、疑われる犯罪に関する容疑者が公務中か否かを説明する宣言書を提出する。かかる決定の再考もしくは変更を要請する条件があるとイラク当局が判断する場合、双方は合同委員会においてこれを協議し、米当局は、米側の決定を変更することに影響力を有するかもしれないすべての条件、出来事およびイラク当局により提出される他の情報のすべてを検討する。 | 「第二項」を「第一項」に変更 | ||
第十項 | 双方は、6か月ごとに、イラクの治安状況、米軍の軍事作戦への関与のレベル、イラク司法システムの進展と展開およびイラク並びに米国双方の法律の変更を考慮しつつ、本条の示唆された変更について検討する。 | |||
第十三条 | 銃の所持と制服の着用 | 米軍および文民構成員は、任務が要求するところに基づき、権限と規範に基づき、イラクに滞在中、米政府が定める銃を携帯することができる。米軍構成員はまた、イラクにおける任務中、制服を着用することが認められる。 | ||
第十四条 | 出入国 | |||
第一項 | 本合意の目的のために、米軍および文民構成員は、米国が発行したIDカードもしくは渡航書を使用し正式な国境においてイラクの出入国をすることができる。合同委員会は、イラクによるIDカードの確認手続きを定める。確認作業の実施責任は、イラク当局にある。 | |||
第二項 | 確認目的のために、米軍はイラク当局に対し、イラクに出入国し、合意された施設および地域に入る米軍および文民構成員氏名リストを提出する。 | 「他者に対してはイラク出入国法が適用されても、米軍および文民構成員には適用されない」との第三項が削除された。 | ||
第十五条 | 輸出入 | (略) | ||
第十六条 | 租税 | (略) | ||
第十七条 | 運転免許および許可証 | |||
第一項 | イラクは、在イラク米軍が保有する自動車、船舶および航空機を使用する際、米軍および文民構成員、米軍との契約者が保有する米国発行の運転免許証を、試験や手数料を要求することなしに受け入れる。 | |||
第二項 | イラクは、イラク国内で私的に所有する自動車を運転する際、米軍および文民構成員、米軍との契約者が保有する米国発行の運転免許証を、試験や手数料を要求することなしに受け入れる。 | |||
第三項 | イラクは、米軍および文民構成員、米軍との契約者およびその被雇用者が、双方が定める条件に基づき、任務に関する限り、米国が発行した有効なライセンスを受け入れることに合意する。 | 新設条項 | ||
第十八条 | 公用・軍用車両 | (略) | ||
第十九条 | 支援サービス | (略) | ||
第二十条 | 通貨および為替 | |||
第一項 | 米軍は、本合意の目的のために、米貨もしくは有価証券の使用を許可される。米軍銀行におけるイラク貨の使用は、イラク諸法に従わなければならない。 | |||
第二項 | 米軍は、米軍および文民構成員、米軍との契約者が、休暇を含む旅行に際し、通貨を供給・両替することができる。 | |||
第三項 | 米軍は、イラク国外にイラクかを持ち出さず、米軍および文民構成員、米軍との契約者がイラク貨をイラク国外に持ち出さないように、あらゆる必要な措置を取る。 | |||
第二十一条 | 賠償 | |||
第一項 | 双方は、契約に係る異議を除き、公務中に双方の軍および文民構成員、およびその資産に発生した死傷に対する賠償及び損害、資産の破壊への賠償を請求する権利を放棄する。 | 「およびその資産」を追記 | ||
第二項 | 米軍当局は、公務中に軍および文民構成員により引き起こされた事態、米軍が原因で発生した交戦以外の事故が第三者にもたらした損害に対し、公正かつ適正な支払いを行う。米軍当局は、公務以外で発生した異議に対して示談を行うことができる。異議は、迅速に米国当局により、米国の諸法と規則に従い対処されなければならない.異議の処理に際し、米当局は、捜査報告、責任及び損害額に関するイラク当局の見解を考慮しなければならない。 | |||
第三項 | いずれかの側が、本条第一項並びに第二項の結果に異議を有する場合、合同委員会もしくは必要な場合には省レベルの合同委員会を通じてこれを解決する。 | 「本条第一項並びに第二項に関連する意義については、米国およびイラクの諸法に基づき、合同委員会がこれを検討する。」を改定。 | ||
第二十二条 | 拘束 | |||
第一項 | イラクの諸法及び第四条に基づき、イラク側の決定に基づかない限り、米国の軍および文民構成員に対する場合を除き、米軍はいかなる者も拘束してはならない。 | 「本合意が定めるいかなる拘束も、イラクの法律、憲法、主権および国際法に従いイラク政府が定める国民の利益に基づき実施されなければならない。 」、「イラクの法律に従い、イラク当局により発行された逮捕状なしに、何者も拘束されない。」の改定。 | ||
第二項 | イラク諸法及び本合意に従い米軍が拘束したいかなる個人も、24時間以内にイラク当局に引き渡される。 | |||
第三項 | イラク当局は、個人の逮捕もしくは拘束をする際に米軍の支援を要求することができる。 | 「イラク当局が拘束作戦を実施する際、米軍に支援を要請することができる。」の改定。 | ||
第四項 | 本合意実施に際し、米軍はすべての拘束者に関する可能な情報をイラク政府に提供する。イラクの関係当局は、容疑者に対する逮捕状を発行する。米軍は、イラクの有効な逮捕状に基づき容疑者をイラク政府に対しひきたすべく完全かつ効果的に協調し、本条第四項の下でのイラク政府の要求がなされない限り、そのほかの拘束者を組織的かつ安全な方法で解放する。 | 「イラク当局が第四条に従い要請しない限り、本合意が有効になる際には、イラク当局と完全かつ前向きな協調を経て、米軍に拘束されているすべての被拘束者は、安全且つ組織だった形で解放されなければならない。本合意発効後速やかに、米軍はすべての被拘束者の状況に関する適切な情報をイラク側に通報することを保証しなければならない。米軍は、イラク当局にすべての拘束者を引き渡す。イラク軍は、暫定的に、かかる業務の実施のために米軍と協調する。」からの変更 | 「拘束者はイラク当局により用意され、監督・コントロールされる場所に拘置される。」の改定。 | |
第五項 | 第四条に基づき、且つイラク当局と協調する交戦状況の場合を除き、裁判所の令状なしの家宅捜索をしてはならない。 | |||
第二十三条 | 実施 | (略) | 第二十三条「他国との合意」が削除され、第二十四条以下が繰り上がる。同条の文章は以下のとおり:イラクは多国籍軍を構成するいかなる他の国に対してもイラクの治安と安定実現のための支援を要請することができる。イラクは、イラクの安全と安定実現支援を求めるために、本合意中で言及されるものを含む合意を、他国もしくは国際機関との間で締結することができる。 | |
第二十四条 | 米軍の撤退 | イラク治安部隊の進歩と能力が向上し治安作戦の主導権を担えるようになること、および強力な二国間関係を基礎とし、双方は以下に合意した。 | 「目標となる期限と治安回復後の米軍撤退」という題が「米軍の撤退」に変更される。 | |
第一項 | 2011年12月31日までに米軍は、イラク領土から撤退する。 | 「2009年6月末までに米軍はイラクの諸都市における作戦活動を終了し、2011年末までに撤退する。この期限については、イラク側の要請により変更することができる。」からの変更。 | ||
第二項 | イラク治安部隊が完全な治安責任を担う場合、米軍は速やかに都市、町及び村から撤収する。これらの地域からの米軍の撤収は、2009年6月30日までに実施される。 | |||
第三項 | 第二項に従い撤収する米軍攻撃部隊は、都市、町及び村の外に位置する合意された施設および地域に再展開する。これらの施設および地域は、第二項に示された期日以前に、軍事作戦のための合同委員会を通じて特定される。 | The two parties agree to put a mechanism and preparations for reducing the number of US forces during the appointed period. And they are to agree on the locations where the forces are to settle. | ||
第四項 | 米国は、イラクからの米軍撤退をいつでも要求できるイラク政府の主権を認める。イラク政府は、イラクから米軍がいつでも撤退する米国の主権を認める。 | 「双方は、第二項に示された期日達成に向けた進展、およびいずれかがこの期日を短縮もしくは延長を要請することにつながるかもしれない条件につきレビューする。いかなる期日の短縮もしくは延長も、双方の合意を必要とする。」(第四項)および「いずれかが要望する場合には、本条が定める期日以前に米軍のイラクからの撤退が行われる。米政府は、いつでもイラク側が米軍の撤退を要求できる主権を認める。」(第六項)からの変更 | ||
第五項 | 双方は、期限内においいて米軍を削減するための仕組みおよび準備について合意する。双方は、米軍が展開する場所について合意する。 | 第一項に示された期間が終わるにあたり、イラク側の評価に基づき、イラク政府は米政府に対し、イラク治安部隊の訓練及び支援のために、一定の部隊の維持を要請することができる。かかる場合、両国の諸法及び憲法に従い、特別協定が協議され、署名される。もしくは、イラク政府は第一項の延長を、第三十一条第二項にしたがい、要請することが可能である。 | ||
第二十五条 | イラクに関する国連憲章第七章実施終了手続き | 2008年末をもって期限切れとなる安保理決議1790号によりイラク政府に与えられた多国籍軍の駐留期限更新要請を行わない権利を確認し、2007年11月26日にイラク首相と米国大統領との間で署名された2008年末日まで米軍の駐留を最終的な要請とする合意に留意しつつ、1790号の付属文書となった2007年12月7日付イラク首相の安保理宛書簡および同10日の米国務長官書簡を指摘しつつ、イラク旧政権により国際社会の平和と安全に脅威が及ぼされた安保理決議661号採択の際より、現在のイラクの状況が基本的に異なっており、イラクの重要かつ前向きな進展を認め、 | 新設条項 | |
双方は、2008年末に駐イラク多国籍軍の任期が切れた後、イラクが、決議661号採択以前に享受していた国際的・法的立場を回復しなければならないことを確認する。双方が2008年末までに達成するために必要な歩みを手助けするために、米国はイラクに最大限のことをなす。 | ||||
第二十六条 | イラクの資産 | (略) | 新設条項 | |
第二十七条 | 治安上の脅威抑止のために | イラクの安全と安定を支援し、国際社会の平和と安定に貢献すべく、双方は、イラクの主権、独立および領土的統一に対する脅威を抑止できるよう、イラク政府の政治的・軍事的能力向上を目指すことにつき、以下のとおり合意する。 | 新設条項 | |
第一項 | イラクに対する内的・外的脅威、イラクの主権、独立および領土的統一を阻害するイラク領海、空域、領土および民衆的政体に対する侵害がある場合、イラク政府の要請に基づき、双方は戦略協議を直ちに実施し、双方の合意に基づき、米国はかかる脅威に対処すべく、外交的・経済的・軍事的行動を行う。 | |||
第二項 | 双方は、イラクの安全で民主的な政体を支援・維持するために緊密な協力を継続することに合意する。右は、双方が合意するところに従い、イラクの要請がある場合には、国内的・国際的テロ組織および無法者集団と対処するためのイラク治安部隊への訓練・補給・武器供給を含む。他国を攻撃するためのルートもしくは出撃地点として、イラクの領土、海域及び空域を使用することは許されない。 | 「他国を攻撃するためのルートもしくは出撃地点として、イラクの領土、海域及び空域を使用することは許されない。」を追記 | ||
第二十八条 | 国際ゾーン | 本合意発効後ただちに、イラク政府は国際ゾーンに対する完全な責任を負う。国際ゾーンの安全に関連する業務につき、イラク政府は暫定的に米軍の支援を要請することができる。かかる要請が行われる場合、イラク政府の要請により、暫定的な期間、国際ゾーンの安全のためにイラク関連諸機関は米軍と協調する。 | 新設条項 | |
第二十九条 | 実施調整 | 必要があれば、双方は本合意の諸条項実施に際しての適切な仕組みを定めることができる。 | 新設条項 | |
第三十条 | 有効期限 | 第二十七条「有効期限」として、「本合意は○年間有効とし、更新可能である。」とされているものの改定。 | ||
第一項 | 本合意は、第三項に基づきいずれかが早期に終了させない限り、3年間有効である。 | 「第三項に基づく早期合意終了、または第二項の延長にいずれかが合意しない場合を除き、本合意は三年間有効である。」からの変更 | ||
第二項 | 本合意は、双方の書面による合意及び両国の憲法が定める手続きによらない限り、変更することができない。 | 「本合意は、両国の憲法が定める手続きに基づき、双方の書面での許可をもって、変更することができる。」からの変更 | ||
第三項 | 本合意の解除には、一年前の書面での通告を必要とする。 | |||
第四項 | 本合意は、両国の憲法に従い、すべての必要な手続きがなされたことを確認する外交文書の交換後、2009年1月1日より発効する。 |