令和4年 年頭ごあいさつ

埼玉県知事 大野もとひろ

明けましておめでとうございます。県民の皆様には健やかに令和4年の新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。

新型コロナウイルス感染症の流行は、世の中の在り方を一変させましたが、先人たちが力強く埼玉県を発展させ、新たな日々を重ねてきたように、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催、埼玉150周年を契機に、より良い埼玉へと新しい一歩を記さなければならないという強い決意の下、新年を迎えました。

一昨年来続く、新型コロナウイルス対策ですが、未知のウイルス故に確立した対処法がない中で、模索しながらも、県としての戦略と戦術を定めこれまで様々な施策を進めてきました。

皆様には、長きにわたる不要不急の外出自粛や営業自粛要請などの感染拡大防止に、格別の御理解と御協力をいただきましたことに改めてお礼を申し上げます。

また、医療関係者をはじめエッセンシャルワーカーの皆様の命懸けの奮闘に対し、深く敬意を表するとともに、心から感謝を申し上げます。

ワクチン接種も進んではいるものの、今後の感染状況の変化に備え医療提供体制等の強化を図っており、引き続き、強い危機感と緊張感を持って対応してまいります。

それと同時に、ポストコロナを見据え、県内経済への影響を最小限に抑え、感染症と共存できる強い埼玉県経済を構築していくことも重要であると考えております。

本県は今、感染症の拡大を契機とした新しい生活様式や新たな社会への変革、今後迎える人口減少社会や異次元の高齢化、さらには自然災害の激甚化・頻発化など大きな変化の時期を迎えています。激動の時代にあって、未来を切り開いてきた人物として思い浮かぶのは、やはり本県が誇る三偉人ではないでしょうか。渋沢栄一、荻野吟子、塙保己一それぞれが、高い志と不屈の精神で偉業を成し遂げられました。

中でも、渋沢翁の「論語と算盤」の精神は、経済成長と環境や社会の調和を図る正にSDGsの精神そのものであり、その先見の明と志の高さには敬服の念に堪えません。

私も埼玉県知事として、「埼玉版SDGsの実現」を掲げて誰一人取り残さない社会の実現を目指していますが、渋沢翁の精神を受け継ぎ、自らの信念を貫き、大胆かつ革新的な手法で取り組んでまいります。

新型コロナウイルスを契機としてテレワークやオンライン会議が普及し、東京都から本県に移り住む方が増えるなど、新たな働き方や暮らし方が進んでいます。このような社会の変化とともに、AIやIoTといったデジタル技術の活用に注目が集まっています。

本県でも埼玉県DX推進計画に基づき、具体的な取り組みや工程を示すロードマップを昨年12月に策定しました。今後、官民問わず様々な分野で変革を促すデジタル・トランスフォーメーション(DX)を重点的に推進してまいります。

社会全体のDXの実現は、産業構造や働き方・暮らし方などに大きな変革をもたらし、社会に対する様々な課題を解決するとともに、生活をより安心・安全、便利で、豊かに変える大きな可能性を秘めています。

埼玉のさらなる成長を加速させるため稼げる力の向上に取り組み、県内中小企業に対して、デジタル化によるビジネスモデルの転換支援を進めるほか、農林業や観光業をはじめとしたあらゆる産業でオンライン活用による新たな需要の創出を図っていきます。

また、東京2020オリンピック・パラリンピック大会のレガシーとして、さらなるスポーツの振興や国際交流、ひいては共生社会の実現などを次代へ引き継いでいきたいと考えています。県主催で行っているボッチャ大会は、障害の有無に関わらず参加することができます。昨年11月の大会には私自身も参加しましたが、スポーツとして純粋に楽しむことができました。このような取り組みを通して互いを理解し、共に支え合う気運が高まることを期待しています。

昨年9月に始まった日本初の女子プロサッカーリーグであるWEリーグは、スポーツを通じた女性活躍やジェンダー平等にも取り組んでいます。県としてもWEリーグを応援していきます。

ぜひ、皆様と共に私たちで、性別に関わらず、誰もが自分らしく活躍できる「日本一暮らしやすい埼玉」を実現していきましょう。

今年の干支は「寅(とら)」ですが、勇気と冒険心のイメージを持つ虎にあやかり、ポストコロナを見据え、皆様とともに「ワンチーム埼玉」で力強く勇気を持って新たなチャレンジをしてまいります。

令和4年1月1日
埼玉県知事 大野もとひろ