埼玉県の新型コロナウイルス感染症への対応状況について
オミクロン株が猛威を振るっていて、埼玉県においても新規陽性者数は爆発的に拡大しています。特にこの時期は1年でも最も入院患者が多い時期でもあり、新型コロナウイルス感染症で入院を必要とする患者の増加と合わせ、医療機関への負担増加が懸念されます。
埼玉県では、当初、段階的に進める予定だった確保病床の即応病床を最大数へと転換させる措置を1月中旬に一気に進め、準備に努めてまいりました。現時点では、オミクロン株の特性なのか、陽性者数と比較して入院者数は一定数にとどまっていて、医療関係者の努力もあり、入院を必要とする方に病床を提供することとホテル等の療養機関に収容することができています。
しかしながら、陽性者数の爆発的増加は、医療機関への負担増につながっていて、最大の警戒が必要とされています。その一方で、入院やホテル等での療養措置が必要とされない、いわゆる自宅療養者が大きく増加している中、着実な対応が必要と考えています。そのためには、医療・療養体制を支える保健所、入院調整機関をはじめとする県庁の体制整備と医療機関等との連携が不可欠です。
埼玉県では、第5波終了後からその経験を踏まえ、健康観察の強化体制に努めてまいりました。具体的には、陽性判明後、最初の状況を聴取する「ファーストタッチ」、療養中に連絡を取る「健康観察」、及び容態が変化した場合に相談を受け付ける「相談受付」の3つがカギになります。
「ファーストタッチ」並びに「健康観察」については、医師会と連携した医師による聴取体制の整備、「健康観察」を請け負う事業者を1社体制から責任ある3社の体制への変更、IT技術の活用による負担軽減措置の強化等を行ってまいりました。この結果、目標としている陽性判明から48時間以内の「ファーストタッチ」ができないケースも見られ始めていますが、県で管轄している保健所区域においては、重症化リスクの高い方については対応ができている状況です。容態悪化の際に迅速対応を行うための「相談受付」については大規模に拡充し、現在まで、相談電話の受電率は100%を維持しています。
保健所及び入院調整への負担についても、早いうちから県庁内で応援体制を組むとともに、外部の看護師派遣機関等とも連携し、応援を必要とする前から応援の派遣をし、OJTに努めさせることで、必要となった場合に円滑に対応できる体制を組んでまいりました。
さらに、オミクロンが拡大し始めた時期から、陽性判明から療養終了までの流れの中で最もひっ迫する可能性が高い脆弱な部分を「ボトルネック」として毎日チェックし、県庁全体で共有し、応援体制を組むなど、必要な対応に努めてまいりました。
一部の都道府県では、「自分で健康観察」、「自分で検査して自己療養」「自分で濃厚接触者に連絡」等、保健所を含む医療・療養を支える体制のひっ迫を受け、「自分で」行う体制に移行していますが、埼玉県では、現時点でこのような方法に移行する必要に直面することなく、より安心とお感じいただける体制を維持しています。しかし、現在の驚異的なスピードでの感染拡大が継続すれば、埼玉県としても体制の移行を検討せざるを得なくなると考えています。
すべての前提となる検査については、検査会社と密接に連携を取って状況を確認していますが、一部都道府県で生じているような4日間立たないと検査結果が来ないという状況にはなっておらず、検査能力に余裕がある状況です。しかし、検査キットが不足気味で、このことが円滑な検査の妨げとなっています。このような状況では「自分で検査して療養」という体制に移行することはできないと考えています。
また、まん延防止等重点措置適用に際し、政府が制度として定めた全希望者検査の採用も検討いたしましたが、医療卸会社への聞き取りで検査キットの不足が見込まれたことから、このように大量に検査キットを消費する手法はあきらめ、診療検査医療機関での検査能力保持に努めることといたしました。それでも今は検査キットが不足していて、何度も政府に対し、検査キットの確保を強く求めているところです。
依然として厳しい状況は継続していて、今回のピークがいつ来るかを安易に想定することはできません。いつ医療・療養を支える体制がひっ迫してもおかしくない状況にある中、改めて県民の皆様の感染防止対策へのご協力をお願い申し上げます。